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【TRUMPを語りたいシリーズ2】Sheltered and Abandoned

末満作品 舞台

保護された子と、捨てられた子

 

TRUMP2015において新たに捕捉された

ソフィが孤児院出身だったという生い立ち。

関連作品のspecterで出生にまつわるエピソードが描かれていますが

混血児ダンピールの宿命なのか、幼いころから虐げられて育った

ソフィ自身の口から語られる孤独な半生。

友達なんかいらない、一人で生きてく。ウル、お前も友達なんかじゃない。

…なのに、なんで僕はこんなにイライラしてるんだ?

 

そして名家デリコのエリートヴァンプとして生まれ育ったウルもまた

過保護ほど干渉され、もしかしたら孤独に育ったのかもしれないと想像します。

幼いころから本を読み空想の世界で生きていたのかな、なんて。

もちろん階級社会に生きるヴァンプにとってウル・デリコの名前は価値があり

色目使っておいて損はないですから、環境には恵まれていたはずですが

コンプレックスであるダンピールという出自があるからこそ

同じ境遇を持ったソフィにだけは心を開けた。

もし仮に自分の秘密が知れてしまったとしても、ソフィになら。

そっか、永遠の命を手に入れてもソフィがいないなら…寂しいな。

 

LILIUMに登場するダンピールのマリーゴールドは産みの母親に言われます。

”あなたを産んだのは間違いだった”

「あたしは、 間違って生まれた子。」

忌み子がゆえに、寂しさを埋める存在をほしがってしまう。

ソフィ・ウルと同じように、マリーゴールドはリリーにすがったけれど

リリーはかつてスノウと親友だった。

記憶が消されても、リリーとスノウが親友でなくなっても、

リリーに近づく他の誰よりもスノウが憎い気持ちだけは消えなかった。

愛する人の記憶を消せなかったキャメリアのように。

 

寂しい人たち

 

TRUMPの終盤、100年前にアレンが銃弾を受け死にかけているシーンで

クラウスはアレンを死なせないために、自身こそがTRUMPであることを明かし

永遠の命をあげようとします

 

「アレン、望んでください。永遠の命を。そうすれば私は」

死にかけているのだから無理矢理噛むことだって出来るはず。

イニシアチブがあるのだから抵抗されたとしてもアレンを永遠の友にすることは容易かったはずなのに

クラウスは星に手が届かなかった。

「クラウスは…ずっとずっと、寂しかったんだね

”寂しい” その言葉になすすべもなくクラウスはアレンの死を見届けます。

 

 

時が流れ、同じようにTRUMPとなり擬似クランで永遠の友を作ろうとするソフィ。

ソフィに反抗し脱走しようとするシルベチカを

いざとなればイニシアチブで記憶を消し薬を飲ますことだって出来ると脅しますが

「そんなことをしたって、貴方の孤独は埋まらないわ」

この一言に動揺し、怯んでしまう。

 

また不死になりえたやもしれないスノウを殺され、逆上したソフィがマリーゴールドを焼き消す刹那

ソフィに浴びせた言葉はこれまた

「あんたも私とおんなじね。かわいそうな人…」

 

同じ、というのはきっとダンピールであること、そして孤独から逃れられない運命なのだということを示唆しているのでしょう。

 

 

クラウス、ソフィ、それぞれが

絶対的な力を手に入れても

己の「寂しい」気持ちを誰かに見透かされた途端に脆くなってしまう。

寂しい気持ちに気付いてくれた人を不幸にしてしまう。

 

 

「望まれぬ子」たちの輪廻はいつまで続くんでしょうね。

一人で生きるにはこの世は酷だ だから 同じ夢を見よう