【舞台】劇団Patch「羽生蓮太郎」感想

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※バキバキにネタバレ

 

劇団にとって節目となる本公演。

全体の感想としては今作を以て立ち上げから5年間携わってきた作・演出の任を離れる末満さんから問われた劇団Patchとは何なのかという命題への彼らなりの、劇団員たちにとっての答えが凝縮された舞台に思えた。

第2回公演の巌窟少年では酒と煙草を禁じられた大人を拒む世界で唯一成長を受け入れようとする少年が

「俺の理想は皆で酒を飲んで煙草をふかしてどうでもいい話で一晩中語り明かすことだ」というセリフを口にするシーンがある。

その理想が第10回公演の羽生蓮太郎の舞台上で実現する劇団Patchエモすぎる。最高だ。

まだまだPatchファン若輩者の私見ですが、巌窟少年と羽生蓮太郎は時代背景や演出の方向性など差異はあれども

根本的な部分、彼らに演劇をやらせたいという末満パパの想いはとても近しい感触があったんじゃないかなあと思う。

そういえば衣装など作品全体のイメージカラーも

窟少年=青 羽生蓮太郎=朱

でなんか対みたいじゃないですか?寒色と暖色で。

前半は末満作品らしい小ネタやテンポよく進むコメディがふんだんに盛り込まれている。
ベースは言わずもがなウィリアム・シェイクスピアハムレットなのですが
シェイクスピアの特徴であるレトリック(美辞)要素を排除し純粋に物語性のみを描こうとしたという末満さんのコメントにもあるように
ぶっちゃけハムレット知らなくてもシンプルに面白い、昭和の大阪を舞台にした群像劇です。
(西でも東でもない富士山麓の僻地で生まれた私には乳首ドリルぐらいしかわからなかったんですが)新喜劇など大阪ならではの笑いも随所にあったそうで
私が観た回は納谷健くんが日替わりキャストで、車いすに乗ったおじいちゃん893の蛍原さんだったんで納谷くんの口調?イントネーション?にゲラゲラ笑ってたら
あとであれはめだかさんという人ですよ~という情報を小耳にはさんで納得。
元ネタがわかるホームの観客の人たちいいな~!なんて羨望を抱きつつも十分笑かしてもらいました。
墓地のアドリブシーンなんかは身内ネタ?中の人ネタもあったんでそこらへんの要素を長々大きな会場でやったら賛否あるかもしれないですが
小劇場という空間がうまい具合に良い作用をしていて日替わりネタをファン同士で共有している感じとかはいつものぱちすてらしさで良いなぁ~としみじみ。
そうして積み重ねてきた笑いのシーンがあるからこそ後半でハムレットという悲劇そのものの持つふり幅がズシンと響いてくるのも末満さんお得意のやつ。毎度ありがとうございます。
少年マガジンあしたのジョー、万博、月の石。
昭和を象徴する記号のような脈絡なく放り込まれた言葉たちが物語が進むにつれて大事な役割を浮かび上がらせていく。

気狂い、頭が弱いなどという言葉をストレートに使うのは時代もあるけど町の誰もがとりわけ(他者から見て)不幸な境遇、庇護対象な存在である蓮太郎、親春にあえて気を使わないことでコミュニティから爪弾きされないようにしていることの裏返し…なのかな。

差別用語と呼ばれるものが淘汰されていく世界で誰もが言葉に敏感になっても、目に見える言葉の過ちよりも腹の底が見えない迎合のほうがよっぽど悪質で不健全だと私は思う。

映画「この世界の片隅に」にも描かれていたように、戦時下という時代背景では家族、配偶者、友人、ご近所づきあいという全ての関わりが根強く

逆に言えば他者と関わらないと生きていけない時代の、そんな人との距離感がまんまハブレンの昭和の時代にも流れてるようだった。

生きていたらどないせいちゅうねん、と叫びたい日もある。

されど人生は続く。

明日が必ず来る保証なんてないのに、同じ今日が漠然と続くようにも思えるし、昨日を悔やむほどの余裕もない。

だからこそ「あしたのために」太陽の下であんじょうきばって今を生きる。

羽生蓮太郎の物語は他でもない「今の劇団Patch」に贈るそんなメッセージがあるようにすら感じた。

 

松井勇歩(羽生蓮太郎)

座長。身体能力の高さ・なにわっ子らしいパワフルさ・スポ根ど真ん中な童顔フェイス

三拍子揃った陽性主人公ポテンシャルを持っているのになぜだかふと目に宿る寂しさや底知れぬ虚空がハマる人だなぁと

「SPECTER」ヒューゴ役の時に感じた陰の雰囲気がまさに今回の人生を悲観する粗暴者、二面性のある松井本人のバランスでもって物語の主軸を担っていた。

スポ根少年だった彼が表現者となり、もがきながらも全力で演劇という壁に向き合ってきたそれまでの半生が強く役にも反映されていたようも思える。

末満さんも本人も言っているように羽生蓮太郎役は消去法で決まったらしい。

たとえそうだとしてもかつての彼は芝居に対する意識の低さから本公演の役を与えられてすらなかった。

自身の不出来を見つめ直すところからスタートした第2回公演。悔しさの中で毎日稽古場に足を運び、本番数日前急きょ務めることとなった代役に「俺が本役や!」というド根性を開花させた。

最初の最初から育ててくださった末満さんとの最後の公演。
絶対に主役をやりたかった。
一番末満さんに近い位置で芝居をしたかった。
ただただそう思ってました。

おおきにブログ!〜羽生蓮太郎〜|劇団Patchオフィシャルブログ「必死のパッチ-必死やなかったらチッパに改名-」Powered by Ameba

結果として松井くんが舞台の真ん中に座長として立ったことは消極的でも偶発的でも断じてない。

言葉通り松井勇歩にしか演じられない熱量と哀愁あるナニワのハムレット必死のパッチで演じている姿が印象的だった。

蓮太郎の内面性については一度観ただけだとかなり解釈に手こずる。理解できる部分もあるし矛盾していて全くわからない挙動もある。色んな人と語りたくなるし早く映像で確認作業したい。

ただひとついえるのはハムレットは悲劇の主人公として死んでいくけれど羽生蓮太郎は決して悲劇じゃないということ。

野犬にばりばり食い殺される蝉に想いを馳せ、漠然と抱いていた寂寞を誰とも共有できなかったり

時に人生を悲観したりする姿はあっても彼の世界にはぶっきらぼうな彼の物言いや問いかけにちゃんと道を示し手を差し伸べてくれる人たちがいる。

蓮太郎が黒男を追いかけ回して円形の板の上を所狭しと竹馬乗りこなすシーン、

音楽とか黒男のひたすら喋り続ける滑稽さで(いわゆる三好ワンダーランド)客席の誰もが笑い転げているのに

あの空間で蓮太郎だけが無機質な絶対殺すマンの目をしていてゾクッとした。

負のエネルギーを爆発させる役が似合う、というのも松井勇歩ならではかもしれない。

1日限定だった車いすのヨウイチもいい味出してました。

はけるときマジで手加減抜きにステージの段差をガガガッ!ってしたり急にブレーキしたりここぞとばかりにジャイアニズム発揮してて

納谷くん恵美須町駅くらいまで吹っ飛んでくんじゃないかと心配した。背ぇの低い子をあまりイジメないように。

 

三好大貴(羽生黒男)
原作におけるクローディアス。まーーーとにかく出鼻から清々しいヒールっぷり。
蓮太郎みたいに繊細な子でなくとも普通に20歳そこそこの微妙な年齢でオカンが自分の叔父と男女の関係匂わせるとか
お墓参りにも行けてなくて死別した実感がわかないうちにお父ちゃんって呼びなさいとか強要される実家どう考えてもハードモードだから。
黒ちゃんたちにとっては秀兄が死んで葬儀から時間が経ってても離れて暮らしてた蓮太郎にとっては違うのに
「いつまでもメソメソしとっても前に進まれへんぞ」みたいなことを言うので早々に嫌い!!!って思ってた。今すぐのれんをくぐってお帰りくださいのお気持ち。
しかも死んだ兄貴夫婦の金を無心して遊びほうけてたくせによくもまあぬけぬけと。いね〜!!
らんくんのいい意味で粘り気のあるジメッとしたお芝居がすごく役にハマってて声も厭味ったらしいし
蛍原組の片棒を担ぐシーンの胡散臭さとか小物感もめっちゃよかった。
らんくんは一癖ある役をやるとき唯一無二の存在感を放ちますよね。

彼もまた第2回公演で役がもらえなかった1人だったのに、今は他の誰よりも強烈な役者として異彩を持っている。

観た人みんな言ってるけど、放蕩者でも繁華街に出れば声をかけられたりホルモン屋でも常連客からギャンブル癖を呆れられてはいても煙たがられてるわけではなさそうなので
根っからの悪人でもないんだろうなって気はする。
下心があったとはいえ、オトンが亡くなって息子も葬儀に現れてくれなくて傷心だっただろう頑子ちゃんを支えたのは黒ちゃんだもんね。クズだけど。
三好ワンダーランドはあんだけ動き回りながらよく噛まずに息を切らさずにセリフ喋り続けられるなーって単純に感動したし1期生らしくツッコミとかズンドコ節とかもうとにかく芸達者。
とかくヘタレなチンピラだったけど頑子ちゃんの男気に心を改めて永く連れ添ってほしいと思う…クズだけど。

 

岩崎真吾(羽生頑子)
最初は真吾くん女性役ってどうなんだろ~中性的な感じなのかな…と思ってたんですが頑子ちゃん、もんのすごいイイ女でした。
それはビジュアルがどうとか表面的な話ではなく、身のこなしや振る舞いももちろん本人が研究して演じたんだろうけどなによりも体現していたのは女性の強さや逞しさ。
女だてらに居酒屋を切り盛りする姿はオカン!っていう人情にあふれているし真吾くんの微笑んだ目が圧倒的に良い。お客さんを見つめる眼差し。
私は昭和生まれでも大阪育ちでもないけど大の大人が夕方から呑んだくれるような漁師町育ちで。
バイトしてた居酒屋には漁師とか商店のおっちゃんばっかり寄合いに来てママにあーでもないこーでもないと調子のいいことばっかり
「俺らこの店じゃないとかんだやぁ」「そんなり比べるほどあらすかえ!」なんて会話が聞こえてくる。
多分いつの時代も男社会の片隅で必要とされる女性像みたいなものを自然体で演じてる真吾くん自身の内面の美しさがとっても魅力的。
居酒屋のママって店で揉め事や悪い空気が流れても大抵はどんと構えてやり過ごすし、口は悪くてあけすけに見えても客商売だから私情を簡単には顔に出さないあの感じがものすごく伝わってきてなんだか懐かしかった。
きっと生活を守るためや蓮太郎に苦労をかけさせないために働いてて母親としては繊細な蓮太郎の内面に気付けなかったところはあったのかもしれないし、なんでも受け入れてしまう包容力が逆に息子と行違う部分もあったのかなって思うと切なくなる。
蓮太郎の奇行を心配した親春に頑子ちゃんが「お父ちゃんが死んでしまったショックで蓮太郎は少しおかしなってるけど親春が仲良うしてくれたらきっと元に戻るとおばちゃん思うんや」と語りかける優しい口調が大好きです。
親春は巌窟少年のマシマシを思い起こさせる、という感想をちらほら散見しているので
頭が弱くて親に捨てられてしまったマシマシの一生を生きた岩崎真吾くんがまるで実の母親のように、慈愛に満ちた表情で親春を見つめている光景はすごく尊い。真吾くんのイメージするオカンなのかなあ。
ちょっと生き方が不思議でびっくりするくらい天然で、芝居の段取りを覚えられず怒られてはあて書きに近い役を与えられてた真吾くん。
でも末満さんからこの役を与えられたことが劇団員の心の揺らぎに誰よりも寄り添う優しさはそのままに、役者としても人間としても真吾くんがこの5年間で変わったんだということの証明だと私は思います。
個人的に磯ミュ終演後ロビーで真吾くんに「マシマシが大好きなのでいつか巌窟再演してほしいです」と声かけしたらあの朗らかな笑顔で「わーまじすか!僕もいつかやりたいです!」と答えてくれたのが記憶に残ってます。
ハブレンが最後の舞台になってかなわなくなってしまったのはすごく惜しいけれど

新しい人生を変わらぬ感性と愛される人柄で生きていてほしいです。お疲れさまでした!

 

吉本考志(歩野宮春)

無精ひげにしゃがれ声、ぼてっとしたフォルムで今期のデニーロアプローチ賞は満場一致で吉本くんに決定です!

見るからに定職つかず昼から大酒飲んでそう 〜!

吉本くんがホルモン屋のシーンにいるだけで5人分ぐらい昭和の空気を纏ってたよ。拍手〜!

吉本くんを最初に観たのが「SPECTER」バルトロメ役だったということもあってなのか私の回路がポンコツなのかちょっとわかんないですが最近ようやく顔認識が安定してきた。
っていうかめちゃくちゃ整った顔なのにいつもキャラクターが濃い。そんくらい役によって変幻自在なお顔立ちだと思ってます。
ハブレンを観劇したころ、そろそろストプレで吉本くんの等身大な役が観てみたいな~なんて思ってたら今年の夏に七味の一味「家族百景」でがっつり実年齢に近い青年の役が観れました!よかったね私。
宮春も基本マダオなんですけど、家計は切羽詰まってそうなわりにすごくどっしり構えてて定春・親春だけじゃなくて蓮太郎や昌ちゃんたちへの接し方も舞台全体を見守るお父ちゃんって感じで良かった。
定は母親に似たんや~みたいなこと言ってますがやっぱり歩野家はこの人がいてあのやわらかい家系の血が流れてるんだなあってビンビンに伝わってきますよね。
蓮太郎がダークサイドに落ちてしまう紙一重のラインを救うのが親友の黒ちゃんをかばって刺される宮春だし、お通夜での「またホルモン食いに行く」て一言が本当に救いだなって思います。
伏せってしまった親春を案じた「はよ大人になり」という言葉は少なからず未来を切望する親心があったのに…親春はそれを望まなかった。切ない。
末満さんの作品で優しいって言われる人は必ず何かを失うので今回もあぁ…って、でもそれゆえに愛おしい歩野家が大好きになりました。
吉本くんの大学生?っていうノリのtwitterとかもうちょっと芸能人然としていいよ!って節はなくもないんですけど(笑)でもそういういい意味.普通の感性を失わずにお芝居と真っ向から向き合う雑草魂が好きです。

上手い表現できないですけど彼という柔軟な個性がいることがPatchが「劇団」としてどう今後展開していくのか、背負ってきた5年間を壊さずにやっていけるのかの間口を広げてくれる役者さんになると期待してます。
お顔キラキラしてるし殺陣もむちゃくちゃ上手いのに血の通ったお芝居のギャップがいいから我が道を突き進んでね。

 

星璃(歩野定春)
とにかく女子が心臓鷲掴まれるイケメンだった。いちいちカッコイイ星のもとに生まれてる。
どうしてイケメンなのかっていうと常に守る人の背中なんですよね。
良い人だけどちょっとばかしうだつのあがらない親父と愛おしいけどおつむはよろしくない弟っていう境遇に生まれて、ずーっと長男として家族を守らなくてはっていうのが定春にいやんの第一優先順位としてあったはずで
なんかもうきっと人生のほとんどを家族のためにお兄ちゃん頑張ってきたのに実の兄より羽生くん羽生くんって弟に言われたらそら内心面白くないだろうし納得いかないけどやっぱり親春を優先させてきて

いつまでも赤子のようにいてほしいと周りから寵愛を受ける弟と否が応でも早く大人にならざるをえなかった兄の悲哀だと捉えるとしんどい。
そうやって肩ひじ張って生きてきた人が自分の友達にオトン刺されて傾がないわけがないし、しまいには弟まで失う悲劇の中で第一声が「やっぱりあいつは疫病神や」って。
もうその一言が定春という男よ…本当は誰よりも自分自身を責めてるはずなのにとっさに出てくる言葉が強がりって。崩れそうな自分を守るために。
それらがあってお通夜で初めて彼は疫病神に弱音をボロボロと吐露するわけですよ。
途方もない無力さに腹が立ってもうどうしていいかわからなくなってすがるように俺を殴れって言う。
張りつめてきた彼の糸がぐちゃぐちゃに絡まってしまう瞬間の涙にナオンはいちころなわけです。
「何しにきたん?」ってところから「いけずすんなや…」のくだりまで位置的に星璃くんのずっと背中と声だけの演技しか見えなかったのに表情を見なくても憎しみ、やり切れなさ、寂しさ、緊張と緩和と
いろんな感情が繊細に伝わってきて本当にずっと親春はこの背中に幸せを約束されて生まれてきたんだなあって泣きながら観てました。
あいつは、親春は死んだんじゃなくてまだどっかに隠れとんちゃうかって泣いてるお兄やんに
きっと二人の一番近くで、スパーリングしてる間じゅうずっと「あしたのジョーや!」ってニコニコ笑いながら羨ましそうに見つめてるだろう親春が頭に浮かんでたよ!って言ってあげたい。
初見のSPECTERで星璃くん吉本くんが中心になって小道具制作を担当してるって知ったときびっくりしたんですよね。お芝居を観るのは好きでしたけどそもそも劇団っていう組織や裏側になじみがなかったんで。
Patchメンバーもナベプロの若手ってイメージでいたのでお手伝い程度ならわかるけど役者もやりつつそんながっつり?
下積みってやつかもしれないけどそれスタッフさんのお仕事じゃない?なんならその時間を稽古にあてれるのに…とかマイナスな見方をしてしまうくらい。
でもPatchステージをいくつか観ていく中で星璃くんをはじめとしてメンバーたち全員が制作を含めたスタッフとして舞台を作り上げることで目のいき届く範囲が広がって細かな部分まで作品に愛情を注げるんだなっていうのがわかったのでこれが劇団Patchイズムなのかなって思いなおすようになりました。
星璃くんに関してはそれが顕著で手先が職人レベルに器用ってのもあるしたぶん彼の繊細な性格そのものな気がする。
磯ミュとかめちゃめちゃ小道具多かったけどセット一つ小物一つに愛着を持って大切に演じてる人が舞台に立ってるの観ていてすごく気持ちがいいですよね。星璃くん年下なんですけど、自分のお仕事とかで星璃くんの精神性の高さを見習わなきゃいけないなって思ってます(笑)
見るたびにガラリと印象が変わっていろんな可能性を見せてくれる万華鏡みたいな星璃くんのお芝居。東京の外部舞台も観に行けるように私もお仕事頑張る~!

 

田中亨(歩野親春)

まず間違いなく今回のダークホース。観劇前に流れて来る感想をチラ見する限り「限りなく田中亨くんの役で死ぬ」って予言はしてたんです。
TRUMPのアレン、有毒少年、巌窟少年のマシマシとほんっとうに無垢がゆえに危うい少年に弱いのです。地雷。

ま~~~~~~今回も夜空に手を伸ばす少年にまんまとやられました。敗北です。

「いけずせんといて!」

「はぶくん居れへんなら万博いかへんよ。」

などなどとにかく可愛い親春はキラーフレーズのオンパレード。怒っても拗ねても甘えても可愛い!全部可愛すぎる!

田中くんの声色はおぼこいお顔から想像もつかないほど低く、ずっしりした響きなのに全く気にならないくらい可愛いが振り切れている。

蓮太郎が影を携えた存在であるならば、親春は底抜けに眩い光。

それこそ月のように強ければ強いほど星々を明るく照らすし、色濃く闇を浮かび上がらせる存在。

そんな親春が「ぼく大人になられへん」と呟く一言はとてつもなく重くて悲しくって、

その真意はきっと彼自身にしかわからないけれどたった一瞬のあの台詞だけが新月のように翳って見え色気にハッとさせられた。

もしかしたらあの悟った表情こそが少年期の終わりだったのかもしれない。

それでも親春は「おもろない」大人の世界から背を向ける。代わりに、月に手を伸ばし走り出す。

たとえ原典のヒロイン像とは違い少年であっても、愛に生き狂おしいほどハムレットを希う姿は間違いなく羽生蓮太郎という戯曲におけるオフィーリアで。

月に手が届いた瞬間の少女のような少年のような、嘘みたいに無垢な瞳。

ドンデン返しとかではないけども末満作品でありがちな「脳天から鈍器で殴られる衝撃」が自分的にはこの欄干のシーンに集約されてた。

息を呑むほどの美しさに軽く脳しんとう起こしそうな、それくらい田中亨が演じる「オフィーリアの死」は劇場を掌握してました。

暗転時に床に点々と散りばめられた非常灯のライトが、幻想的な音楽と相まってプラネタリウムみたいで綺麗だったという感想を事前に読んでいたので、目の前にその光景が浮かんだとたんぶわぁーって涙が止まらなくなった。嗚咽。

すごい個人的に、大好きなゴイステ(銀杏BOYZ)の「夜王子と月の姫」っていう歌が親春にハマると思ってるのでぜひ聴いてみてほしい。歌詞に宮沢賢治とかくれんぼが出てくるし。

 

世界の終わり来ても僕らは離ればなれじゃない

世界の終わり来てもきっと君を迎えにゆくよ

君が星こそかなしけれ 君が星こそかなしけれ

夜王子と月の姫 - GOING STEADY - 歌詞 : 歌ネット

 

大楽後のブログで田中くんは

でも自分的に歩野親春は今の僕に合っていた、ハマリ役だったなぁと思います。
5年10年と経つと演じられないんだろうなぁとも思いました。。

だからこそ、これからの僕は「ハマリ役だけじゃなくどんな役でも演じれるんだぞ」ってところを見せていけたらなと思います。

【田中亨】羽生蓮太郎|劇団Patchオフィシャルブログ「必死のパッチ-必死やなかったらチッパに改名-」Powered by Ameba

こんなふうに語っていて。

正直、観た人みんなが抱きそうな「あの物語のあの役が出来るのは他のPatchメンバーでも5年後10年後の田中亨でもなく

今、この時の田中亨しかいないだろう」という刹那の感情を本人がきちんと俯瞰し言葉にしている事実に改めて胸を打たれました。

役者としてはまだまだプレーンで経験も浅く、役の評価に慢心してはいけないということ、得た期待や注目は糧にしなくてはいけないということを

若いのにちゃんと自分の言葉で表現出来るある種の冷静さは役者としてすごく成長していけるんだろうな…と思うと同時に

役者さんの資質や実年齢とバッチリハマった舞台と出会えることもこのうえなく幸せなことだし

だからこそ役者さんを通してしか観客は役に会えないことも私はひとえに演劇だなあと感じるのです。

その日観れなかったら二度と同じ人には出会えないという密度の濃い偶然を最たる形で見せてくれるような役が歩野親春だとも感じました。

短命な蛍のように浮世をさまよい、いなくなってしまった男の子。

願わくばこれから見守りたい度ナンバーワン俳優の田中亨くんがたくさん経験を積んでも、根っこの部分で歩野親春がかくれんぼして一緒に歩んでくれたらいいなぁと勝手にワガママに念を送りたいと思います。

ま~色々言いましたがなんだかんだで全部かっさらうインパクトを残したのが小指のテツ

それまでの亨くんの模範的な、なんとな〜くグランプリなのに目立つ機会がないなあというイメージを覆すキャラクターが爆誕しましたね。おめでとう。

「小指のテツや!」と言われて即座に小指を立てるあの瞬発力、日替わりの蛍原さんや無茶ぶりのアドリブでクロちゃんがどんなに笑いを取っても無表情。

普段のツイートとかアップする画像からたまにすごいシュールなんで絶対にまだ引き出しあるでしょ大阪人。秘めたるコメディセンスにも期待。

 

藤戸佑飛(布袋昌吾)
誰がどう見てもキャラ得部門でお馴染みの藤戸くん、ぱちすて的にはサヤーテの圧倒的イメージを覆す大健闘だったんではないでしょうか!
松井・藤戸といえばホストちゃんの柑橘コンビが記憶に新しかったと思うんですけどいかんせん彼の外部舞台を全く観れてなかったため
知らぬ間に松井くんとの信頼関係やコンビネーション芸が確立されててなんだかほっこり。蛇足ですがホストちゃん観に行ったお友達が蜜柑ちゃん可愛い可愛い言ってました(ご報告)
初舞台がサヤーテで強烈なインパクトを残したんでストプレであれを塗り替える演技を求められるの相当ハードル高かったと思うんですけど
なんていうか彼、立ち回りがものすごく器用ですよね。サヤーテがエアブレイカーだったぶん意外って言ったらあれですけど全体のバランスをよく保っててびっくり。
柑橘コンビのそれがなくても暴走がちな蓮太郎を支えるバランサーポジション資質的にピッタリでは?って感心しました。
昌ちゃんの自分の気持ちおかまいなしで、常に誰かのために悩んだり動いたりしているところが好き!墓地シーンでビビり倒してるのを抜きにしてもね。
若干めんどくさいし誤解されやすい蓮太郎にとっても昌ちゃんに救われてそうな部分大きいし昌ちゃんにとっても頼られてまんざらでもなさそうなのが男の子の友情って感じ。
自分はハムレットなんだと項垂れる蓮太郎に昌ちゃんが弱弱しくもきっぱりと「お前とハムレットは違うよ」と口にした後にもう一度似たようなくだりがあって「(お前がハムレットなら)俺はホレイショーや」って言いなおすのが覚悟というか自分に言い聞かせるみたいなニュアンスもあってよかったです。
「あんじょうきばっていかなあかんな」「月まで届いたらええなあ」っていう彼の台詞で物語の幕が下りるのもすごーく重要な役割ですよね。やっぱりもう一度映像で観たい!
ちょーっと感情が高ぶったとき早口が気になるかな?ってとこありますけど肩の力が抜けて場慣れしてったら4期生で納谷くんに次いで安定感ある子になりそう。
多少声張ってても藤戸くん声が良いから聞きやすいんですよね、芸人さんみたいな感じ。芸人さんたいがい歌うまいからね。(?)

今絶賛公演してるジャー忍でも何やらうまみありげな濃いくノ一(寿ちゃん)を演じているもよう。東京公演が楽しみ~!
藤戸くんは制服が許されるうちにごくせんとかGTOみたいな学園ドラマに出てほしさある。見た目がキャッチ-だから映像映えると思うし人気出そうな気がするんですよねえ…あと制服着てほしいっていう私欲です。村川マネお願いします。

 

有馬純(尾瀬倉友之助)
有馬くんを磯ミュで観たときすっごく印象に残ったのがサヤーテカーニバル。
観劇おばさんやりながら副業でドルヲタ(ハロプロヲタ)を兼任してるのでよくアイドルを観察しているんですが
有馬くんがダンサーとして南蛮衣装で笑顔を振りまいている姿が目を引いてファンサービスさながらにお客さんの方にもバッチリ視線を向けて表情作っててア、アイドルがまぎれとる~!!!ってなりました。
あえて誤解を恐れずいうならジャニ○ーズ的な、堂々としたステージング!自分がどう見られてるかわかっとる~!!!あざとい。可愛い。
スノウやるとキスマイのたまもりくんにめっちゃ似てるもんね。それは関係ないけど。
お芝居の面でそんなに前に出る子ではないというかまだ自分の色を出せてはない、自信なさげなイメージだったのでまさかのミュージカルで度肝抜かされた。
今作の尾瀬倉くんもけして前に前になキャラクターではないけど、桐志田くんとのコンビプレイでアイドル的な華を添えていました。お小遣いあげたい。
ていうか有馬くんも尾形くんもすらっと背が高くて小顔で2人の間だけ西洋のおぼっちゃんな空気が漂っている…スタイリッシュコンビ。
実際のハムレットの戯曲を演じる劇中劇シーンはがらっと豹変していたなぁ。
なんか2.5次元とも2次元ともまた違う、浮世離れした中世のオーラをかもし出せるのは新発見だったです。欲を言えば彼も含めて巌窟少年再演が見たかった。
有馬くんのように無二な雰囲気と女性的な感性を持った子が自分の魅せ方をわかっているっていうのはかなり武器になったと思うし、まだまだ若く違う役柄もたくさん観てみたかったのですが
Patchでもしかしたら立ち位置に悩む部分もあったのかもしれないし。個人的には彼には自分を表現する仕事してほしいけどまぁそこに固執しなくても何かしら世渡りしていけそうな愛嬌があるので
山田くんのアカウントで生存確認出来ればとりあえず今は呼吸してるだけオールオッケーなんでおちんぎん振り込ませてください。

 

尾形大悟(桐志田興喜)
オゼキリコンビの片割れ。この子もホントに手足が長くてフォトジェニック~!
尾形くんは前髪をおろしてるとシュっとした和っぽい美人なんですけど意外と濃い(本人談)眉毛をだすと通った鼻筋にアーモンド形のおめめがヨーロピアンテイスト。見れば見るほど不思議なお顔です。
メイク映えするし夏のお仕事に抜擢されたのもなんだか納得がいきますね。来年も出てね。
磯ミュに続いてでっかいわりに飛び道具ポジションがハマるのは岩崎くんの系譜でしょうか。
やられ役がカワイイっていうのは最高以外に申し上げようがないんですがやっぱり尾形くんもハムレットの劇中劇で声色を変化させて入りきってたのが印象的。
尾形くんって明るくて天然で、みたいな部分がフィーチャーされがちですけど彼自身からにじみ出てるアンニュイな感じがおや…?ってなるので
幸せになってほしさと常に闇抱えててほしさの両方をくすぐってくる子なんですけどわかります?伝われ。
ハムレットを演じるシーンでちょっとその片鱗垣間見えた感じあったんでバチコーンとハマる役があれば起爆剤としてのポテンシャルありそうなんだよな。
たぶん彼めっちゃ繊細だし。村川くんみたいな感じだと思う。知らんけど。
なんかオシャレバンドのMVにめっちゃ出ててほしいよ私は。下北認知度高しみたいな。感ピエのMVにおける田中真琴ちゃんみたいなポジション狙っていこう。

ネット担当広報担当だった山田の席が空いた今、世はまさにSNS時代をひとつなぎの大秘宝していくのはPatchの最終兵器である君しかいない。手始めにインスタとかやってみよう。

 

山田知弘(羽生秀太郎)
キャスト発表された段階で山田、先代国王の役!?想像がつかん!責任重大じゃない!?
とそんな杞憂も風速5000000000000000kmで吹き飛ばされるようなコントのおじちゃんでした。ベッタベタの。
一升瓶片手に禿ちゃびんで腹巻って。一升瓶零れてるし。無茶苦茶か。
出てきただけで笑いをかっさらいながらも物語の起点となる重要なシーンでもあるのでシリアスとコメディが混濁しててさじ加減が難しかったと思う。
山田独特の鼻にかかった声で「おとうちゃんのことすきか~!?」って何度か息子に確認してたところがなんとも愛らしかった。
息子も息子で「好きとか嫌いとかわからん…悲しかった」って素直じゃないんか~!
黒男は許さんけどお母ちゃんのことは許す、ってら少なからず罪悪感とか苦労をかけさせた自覚はあったんですよね秀ちゃん。許すってなんか上から目線が鼻につくけど(笑)
本役以外にも常連客とか墓石とかで山田っぽさを消したり匂わせたりして馴染んでたけど
本公演後のブログでまだまだ意欲がありそうな感じだったから期待してたのに色々あって最後の公演で演じた役がハゲのおじさんって、山田ここに極まれりって感じですね。
でもなんだかんだで人に愛されイジラれ末満さんからも山田はな~って感じでオチに使われるキャラっぽくて良い役だったよ!!
ツイッターも元気にやってるみたいだしこちら側の活動でもご健勝を祈ります。同業者としてハロプロ現場も歓待しますよ。

 

納谷健(蛍原康)※日替わり出演
おじいちゃんの回でした。磯ミュ再演の方は観に行けなかったので生の納谷くんを観るのは初めてで
キャスパレ?オープニング?のあいさつのキラッキラしたオーラとモブ役の渋みのある色気を放つ姿で「これが噂の納谷健か…(生唾)」という感じでした。おモテ遊ばすわ。
背は小ちゃいのに端正な顔立ちとあの低いのに特徴的な声質(ちょっとD2山田陳内みある)と、
スリムだけど筋肉質な体格と色々矛盾が生じてる奇跡の総合バランスが「ずるい」の集合体ですね。
普段喋ってるときの納谷くんの語尾が上がる口調とか声ちょっとあかんくらいえっちぃと思うんですけど
車いすに乗ったおじいちゃんがなんかズルいイントネーションで組長やってました。思てたんと違う!
「やれ。」のトーンが冷淡で最高にツボでした。今度はがっつりジャー忍で観れるのでわくわく。


とにかくジャー忍を観劇する前にハブレンの感想まとめたかったんで駆け足で、かつひとりひとりに真剣に向き合って愛を注いで書きたかったので時間も文字数もかかっちゃいましたがこんな感じです!
もちろん手放しで素晴らしかった!文句ない舞台だった!ということでもなく
客演なし、凝ったセットや演出なしの素舞台で役者として演技力だけで勝負な感じだったんで
末満さんの脚本ありきかもしれないしまだまだ力足らずな部分も見えてた印象もありますが
私が観れたのは一公演だけでしたし時間も経ってましたが役ひとりひとりに対する思いが浮かんできたので私の中でもちゃんと生きてるんだな~って気持ちで書ききれたのがすべてです。
ホントは竹下くん、中山くん、近藤くんの日替わりも観たかったよ~!!
井上たくちゃんも声の出演だけでも出てくれて仲間を感じた。中山くんがパンフに書いてた言葉、オタクも同じ気持ちだよ~!!
もしかしたらハブレン未履修な方がこのブログ読んでくださってたら嬉しいですし絶対観てほしいんで
事務所chanははやく円盤たのむ~!地の果てまで円盤クレクレおばさんするよ~!