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会いたい気持ちが世界の中心

【舞台】ホットポットクッキング Presents Vol.4「GJ」

 「それはできないわ」「どうして?」「だって……契約だから」


ジュンコ(高橋胡桃)、セリナ(玉川来夢)、イヨ(橋本瑠果)はある日、弁護士のミヤタ(深澤大河)とミヤシタ(吉本考志)と共に、とある洋館を訪れる。

そこはジュンコの母親(愛加あゆ)と離婚した、ジュンコの父親(川口龍)の家だった。

父親の遺産整理…

何年も会っていない父親が亡くなり、母親も早くに無くなっていたため一人娘のジュンコが遺産を相続することになったのだ。

遺産は、家に土地、家具に美術品…相続するなら相続税も掛かってしまう。

ろくに顔も覚えていない父親の遺産の扱いに悩むジュンコをよそにセリナとイヨは言いたい放題。

少し考えたいと家に残るジュンコ。そこに小学校の同級生のノゾミ(吉岡茉祐永野愛理/内山日奈加)がやってくるのだが…

 

gj-hotpot-cooking.themedia.jp

 

※ネタバレもりもりです~

 

 

劇団Patchの吉本考志くんが東京での外部初客演ということで、松井勇歩くんのアフタートークゲスト回に観劇してきました〜!

姉妹間の遺産相続の話なのかな?なんか不思議な空間〜ってとこから

→あれっ姉妹じゃなくて幼馴染なんだ?ふーん…弁護士コンビじゃなくてイヨとセリナが詐欺師なんじゃないの?

→どえええ、他人どころか多重人格かよ!イマジナリーフレンド?!っていう多重ミスリードを誘う構成になってたので徐々に漂う不気味さも相まって尻上がりで面白かったです。

 

考志くんが弁護士役!という事前情報がツボにハマって(失礼)いやもしかしたら六法全書で殴ってくるタイプのパワー系かもしれないですもんねアハハ〜などとのたまっておりましたが、至ってまともな(?)遺産整理関連の専門業者として深澤大河くんとツインで出てました。考志くんが流暢な標準語で相続税について説明してて非常に胸キュン。

大河くんのやわらかい声質と考志くんのエッジ強い声質の相性が良かった!動きがシンクロしたりアシンメになったりたまに噛み合わくて焦ったりする不思議でかわいいふたり。

 

途中メイン3人の女優さん+トリプルキャストの女優さんでアドリブ劇みたいな時間帯があって、これは否定じゃなくてめちゃめちゃ個人的好みの話なんですがわたしは「役じゃない中の人が長々出てくる」演出が好きではなくて。

アクシデントに対応しきれなくてその場しのぎに出ちゃったとか冗長気味な展開のスパイスとしての日替わりアドリブなんかはよくあることなんで許容範囲なんですけど、そのノリが長すぎるとスン…てなっちゃいます。

私はなにを見にきたんだっけ?みたいな。同じ理由でホストちゃんは食指が動かない。本気で口説かれたいなら歌舞伎町行くわ(行かない)ってなるし5分程度でも面白いトークを見たかったらルミネザよしもととか?わかんないけど芸人さんの劇場に行くよね。

楽しめる人にとっては全然アリなんだと思うので、これは私が女優さんたちに興味がないからというよりかはたぶん贔屓にしてるハロプロ劇団Patchでも全く同じです。観劇中スベってる空気で逆に笑っちゃうしつまんねーな….…っていう能面顔も割と隠せないので、演劇女子部やPatch stageで空気読めてないオカチメンコブスがいたら私だと思ってくれてかまいません。よろしくどうぞ。

 

そういうちょっとした中だるみもあってあれ、これはもしかしたら私の苦手な部類の演劇では….…って雲行きが怪しかったんですけどGJの輪郭がはっきりしてくるにしたがってジワジワ、繋がった瞬間にゾワゾワー!!ってなるお芝居でした!!

父親が出てきたタイミングが早かったのでもっと小難しい血縁関係のいざこざがあるかと身構えてましたが、存外閉鎖的なお話だったのも拍子抜けでした。

ジュンコがその日暮しのフリーターでコツコツ稼ぎながら合間合間にバックパッカー生活をしているとか、父親が宝くじを当ててその財産を投資に当てて生活してたとか無駄にスケールがでかい話が「血は争えんなあ」って言われてもちょっと飛躍しすぎなのかなという気はする。でもあのくらいの非現実感がこのお話には丁度いいのかも。

天涯孤独で生い立ちの複雑さから友達がいなくて遺産のことを相談できる人すらいないから便利屋呼ぶしかない女性の闇、なかなかキツいものがある。

 

GJとは中盤でつまびらかになるとおり「ギジ」のこと。

ぎ‐じ【疑似/擬似】

1 本物によく似ていてまぎらわしいこと。また、そのもの。
2 そっくりまねをすること。

無意識に上記の意味でジュンコが作り上げた人格を指す言葉だろうと受けとったのですがよくよく考えたらそこも怪しいなってハッとしたので同音異義語を調べました。

ぎ‐じ【疑事】
うたがわしい事柄。うたがうべき事柄。

 

ぎ‐じ【議事】
会合して、審議すること。また、その内容。

 

ほーーんなるほど????ここらへんとの複合ミーニングな役割があるんじゃないかなと仮定して、わたしの考えでは衣装の色が黒→実在する人物で白→ジュンコが脳内世界で作り上げた人物なんじゃないかなっていう。

弁護士ズ・父と母・便利屋女性?はそれぞれ実在してるけど、イヨとセリナはジュンコの精神的に閉じた殻とか白い繭の中に包まれた未熟な心の象徴、みたいな。

序盤のジュンコ、イヨ、セリナが繰り広げる掴み所なくとっ散らかっているような会話の応酬が後にすべてジュンコが脳内で独り言ちている議事録であるということが大きな意味を持つんだなあと後半で分かってくるのでそこをふまえてもう一回脚本を噛み砕きたかったな。

父親役の川口さんと母親役の愛加さんの演技力が座組の中でずば抜けててちょっと違和感あるくらいでした…パワーバランス的に。

どちらも出てきた時点で幽霊なんですけど、重力がない浮遊感を表現するのに父親は椅子を使った身体表現、母親はフワフワと優雅に舞いながら(さすが元タカラジェンヌ)親子の会話をしてた。

放蕩者の父親がまったくジュンコとまともに目を合わせてなかったのに怒涛のクライマックスシーンで消えてしまう直前にやるせなくて名残惜しいような愛おしむような、思いが入り混じった視線を娘に向けていたのがうるっときました。

「お前が生を受けた瞬間から血の繋がりは切ることは出来ないんだ」というような言葉をジュンコが浴びせられるのですが、わたし自身は実の父に憎いとか特別思ったことはなくどちらかといえば敬愛の念も強いので聞いてて「はあそうですか。まあ確かにそうなんだろうな」くらいの気持ちだったんですが

生きにくい世の中にはいろんな家庭環境があって、少なくとも実親に対して「身体中から血を抜きたいほど血縁が悍ましい」というような気持ちを抱いてる知人も見てきたので、そう言った人にとっては胸を抉られるような言葉なのかなあとか。想像に過ぎないのでわたしが言えることは何もないんですけどね。

 

アフタートークにも出られてたセリナ役玉川来夢さんのナチュラルに毒があるお芝居好きでした!セリフが聞いてて心地よかった〜。
らむさんがアフトで物語の核心となるとこの解釈を「私はこう思う」ってわかりやすく解説してて客席もうんうんなるほどーってなってるのに

たかしくんがいまいち理解できてなくて「うーん…えっ?」ってなって松井さんとの「寝てた?」「いやめっちゃハッキリ目開いてた!」ってやりとりが可愛かったです。いつも眠そうやもんな。

たかしくんも自分の解釈を頑張って説明して、要約すると「全部ジュンコの夢の中の出来事で最後に照明が降りたところでジュンコがパッ!て夢から覚める」みたいなことだったんですけどいかんせん説明がうまくなくて松井さんがウーッ!ウーッ!てなってるのとパッ!のたかしくんの顔が大変に可愛かったというご報告です。

松井さんが言ってたのかな?生きてるうちには親に対して言えないことがたくさんあるし距離が近すぎるからこそ分かり合えない、分かろうして分かりすぎてしまうこともあるっていう感想がすごく納得でした。あと主人公が男やったらもっと形式とか気にするかもしれんから一発殴るとか(笑)男と女で父親に対する見方が違うかもしれないみたいな話が面白かった!

 

余談ですが赤坂レッドシアター、駅からのアクセスが非常に良くて劇場どこですか難民にはありがたかった。劇場としてはまあこんなもんかって感じですがホント仕事終わりダッシュとかなら最高の立地。

あと後日お友達から聞いたのが、物販にいたたかしくんが男性のお客さんにブロマイドを買ってもらって「うわー!男性から買っていただくの目標にしてたんで嬉しいです!ありがとうございますー!」ってめちゃくちゃ喜んでたっていうハートフルでホッコリなお話でした。おわり。